新しい10BASE-T1LイーサネットPHYにより、業界をリードする最長1.7kmでの10Mbpsデータ伝送を実現

 

 

2020年10月07日

SCJ-20-011

日本テキサス・インスツルメンツは、1対のツイスト・ケーブルによる、最長1.7km、帯域幅10Mbpsのイーサネット信号伝送が可能な、新しいイーサネット物理層(PHY)製品を発表しました。イーサネットPHY『DP83TD510E』ではケーブルの距離が、IEEE(米国電気電子学会)802.3cg 10BASE-T1Lシングル・ペア・イーサネット規格のケーブル長の要件である200mよりも1.5km延長されています。このようにケーブル長が長くなったため、産業用通信の対応範囲の拡大が容易になりながら、システムの重量が増したり配線のコストが余分にかかることがなくなります。詳細についてはこちらをご覧ください。 

 

10BASE-T1L仕様の詳細は、技術記事「10BASE-T1Lシングル・ペア・イーサネットにより、少ないケーブルでネットワーク・エッジを近づける方法」(英語)をご覧ください。 

 

長距離通信のための帯域幅増強の要求に応える 

工場やビルのオートメーション・システムがますます複雑になるにつれて、ネットワーク・エッジのノードから送受信しなければならないデータ量も増えています。エッジ・ノードのアプリケーションに直接アクセスできれば、制御や状態監視が強化されると同時に、ネットワーク・システム間でより効率的にデータを共用できるようになります。 

エッジ・ノードに接続機能を持たせる現行のソリューションの多くは、ネットワーク・ゲートウェイによるプロトコル変換を利用した、複数のフィールドバス・プロトコルにより細分化されたシステムを用いています。プロトコル変換を介してネットワークを統合する方法は、より複雑で、追加コストがかかるだけでなく、エッジ・ノードのアプリケーションを遠隔で監視する機能も制限されます。 

設計に『DP83TD510E』を使用することで、コントローラからエッジ・ノードまで、1対のツイスト・ケーブルによる全二重データ伝送に対応した単一の通信ネットワークを実現できます。高帯域幅通信を行うためのプロトコル、ゲートウェイ、ケーブルを追加する必要がなくなることでネットワーク管理が簡素化される一方、HVACバルブやアクチュエータの制御、フィールド・トランスミッタ、エレベータの主制御、火災報知機の制御パネルといった、長距離アプリケーションのシステム制御が改善され、相互運用性が向上します。 

10BASE-T1LイーサネットPHYによりビル・オートメーション設計の接続性を高める方法については、ホワイト・ペーパー「ビル・オートメーションにシングル・ペア・イーサネットを活用する」(英語)をご覧ください。 

4~20mA電流ループといった、2線式フィールドバス技術からシングル・ペア・イーサネットにアップグレードする際には、データ伝送と電力供給に既存の2線式フィールドバス基盤を再利用することで、ネットワーク設計をさらに効率化し、設置費用を抑えることができます。 

 

本質安全性システムにイーサネット接続を組み込む 

『DP83TD510E』は、本質的な安全性を求められるイーサネットAPL(Advanced Physical Layer)システムでの使用に対応して設計されています。イーサネットAPLとは、IEEE 802.3.cg 10BASE-T1L規格に基づくイーサネット仕様であり、本質安全性の要件があるプロセス・オートメーション・システムへのイーサネット・ネットワークの実装を効率化するために開発されました。 

本質安全性イーサネットAPLシステム、特に爆発のおそれがある危険性の高い環境での使用を目的に考えられたシステムを設計する上で重要な考慮事項は、システムの障害時にイーサネットPHYの電力レベルを低減し、温度を下げることができるかどうかです。『DP83TD510E』は外付け終端抵抗をサポートすることで、フィールド・トランスミッタなどの長距離プロセス・オートメーション・アプリケーションでの使用時に、突入電流を抑え、動作温度を低く維持します。 

本質安全性要件への対応が容易になることに加えて、『DP83TD510E』の消費電力は、1Vのポイント・ツー・ポイントで45mW未満と非常に低いため、これにより増えた電力マージンを、システム性能を高める目的で他の重要な回路に割り振ることができます。 

 

パッケージ、供給と価格について 

DP83TD510E』の量産前バージョンは、32ピンQFNパッケージで現在TIウェブサイトでのみ供給中です。1,000個受注時の単価(参考価格)は3.20ドルから設定されています。DP83TD510E-EVM評価モジュールは、149ドルでTIウェブサイトから購入可能です。TIウェブサイトでは、お支払いと配送方法について各種オプションをご用意しています。量産品は、2021年初頭に供給開始の見込みです。 

 

システム設計のニーズに合ったシングル・ペア・イーサネットPHYを探す 

『DP83TD510E』が加わり、シングル・ペア・イーサネット仕様のカテゴリをすべてサポートするイーサネットPHYトランシーバのポートフォリオがますます充実します。このポートフォリオには、ギガビット通信に対応した新しいIEEE 802.3.bp 1000BASE-T1車載イーサネットPHY『DP83TG720S-Q1』と、100Mbps通信に対応したIEEE 802.3.bw 100BASE-T1車載イーサネットPHY『DP83TC811R-Q1』などもあります。 

 

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。